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柳川喜郎氏を講師に招き、住民投票条例の勉強会

2010年02月17日

2010.02.17
 過日、議会運営委員会理事会に自民党市議団から2件の政策条例を提案していますが、その内の1件の「住民投票条例」について、河村サポーターズ代表を務める元御岳町長 柳川喜郎氏に講師を依頼し、自民党市議団主催による勉強会を本日開催しました。

 今日の勉強会は、会派を超えて民主、公明、共産をはじめ市議会全議員に参加を呼び掛け、マスコミにも全面公開で行いました。


右から、柳川喜郎氏、主催者挨拶する自民党市議団 桜井治幸団長、司会進行の同団 成田たかゆき市会議員

 勉強会の開会にあたり、主催者を代表して、自民党市議団長の桜井治幸議員(千種区選出)があいさつし、「十数年前に岐阜県御岳町で産業廃棄物処分場建設が計画された時、計画地が名古屋市水道の水源に隣接していたことから、自民党市議団は建設中止を申し入れたが、その当時の町長は今日の講師の柳川氏。」「建設反対を唱えた柳川町長(当時)は、何者かに襲撃され重傷を負う被害にもあったが、怯むことなく建設賛否を問う住民投票実施を貫かれた。」と当時を振り返りながら講師の柳川氏を紹介し、その後、同氏の講演が行われました。


 柳川氏は、当時、町長として産業廃棄物処分場建設を反対したことで襲撃を受けながら、住民投票を行った当時の体験を振り返り、「住民投票の結果は、8:2で建設中止となったが、建設推進の関係者からは、そんなものはアンケート調査だとも言われた。」「当時は、住民投票の事例も少なく、御岳町は全国で3番目の事例だった。」「しかし、2年前に開発計画は取り下げられ、その理由には、住民投票の結果を尊重すると民意の重さが明記された。」「なぜか今、河村サポーターズの代表にまつり上げられているが、これからお話することは、私の個人的意見。」と前置きを置かれた上で講演を始められました。

 講演は、「住民投票の意義」「住民投票実施の条件」の2点について、箇条こどに柳川氏の見解が整理され行われました。

「住民投票の意義」

  • 民主主義の原点は、直接民主主義で、その起源は、ギリシャアテネから始まった。
  • 当時のアテネ市民の成人(18才~)男子6000人が丘の上に集まり議論を行ったが、賛否が分かれるものは挙手で決着し、今の市議会より多いのではないかと思うが、月4回ほど行われていたようだ。
  • その後、人口増や都市機能の拡大等により、直接民主制による意思決定が難しくなり、代議制の間接民主主義へと移行するようになり、価値観が多様化する現代まで、間接民主義が主流となった。
  • 河村市長は約51万の支持を受けたが、マニフェスト全てを市民が賛成しているものではない。
  • 他の選挙でも比較選択によるもので、当選者の全ての公約が支持されたものではないだろうし、特定の問題には、間接民主主義では結論がづけ難い問題がある。
  • 今の政治への市民の対応には、おまかせ民主主義、観客民主主義的なところもあり、御岳町長時代には、町民に「グランドに降りて来い」「自分でプレーしないのは民主主義とは言えない」と訴え続けた。
  • 時代のスピードは速くなっていて、次から次へと課題が発生するので、代議制による政治家(首長、議員)が結論を迷う時も出てくる。そうした意味で、住民投票は効果的な手段。
  • 最近では、政権交代や衆参議院の捻じれ等が問題となることがあるが、民主主義は捻じれがあって当たり前で、例えば100人全てが賛成となるような国は世界で北朝鮮だけで、全く捻じれない民主主義は健全とは言えないし、住民投票は捻じれの解決策のツールのひとつとなる。
  • 地方分権時代は、自分たちのことは自分たちで決めようということで、そうした中では、一番解り易いのは住民投票。
  • 政治家が信頼されない大きな要素には、「政治と金」の問題があり、政権交代後にまで、鳩山、小沢問題が出てきたことに有権者は、「民主党よ、お前もか!!」とがっくりしている。
  • こうした出来事には、政治は胡散臭いと思われ、これでは、みんなが選挙に行かず、間接民主主義は制度疲労を起す。…これではまずい。住民投票は、こうした機能不全の現象を補完し、政治に喝を入れる効果もある。
  • ただ、現代は間接民主主義が主流で、何でもかんでも住民投票でやればいいものではなく、その地域にとって重要な問題の時に適用されるべきもの。

「住民投票実施の条件」


  • 通常は、間接民主主義(首長・議会)に任せるが、「重要課題が発生した時」、「首長と議会が極度に対立している時」、「議会の賛否が均衡する時」等に限り、住民投票が適用される。
  • 緊急性の高いもの以外は、各種選挙と同時に行う。(費用等の問題に対応)
  • 問われるテーマが純然なものに限る。
  • 住民投票を政争の具とすることは絶対いけない。政治利用は邪道
  • 議会等で十分な議論が尽くされた上で行う。
  • 実施前には、十分な時間をとって、有権者に十分な情報公開を行う。これが出来ないのなら、住民投票は行うべきでない。
  • 御岳町長時代には、襲撃を受け重傷を負ったが、警察の警護を受けながら、防弾チョッキを着て41会場に足を運び説明を行った。それでも約15000人の有権者に対して、説明出来たのは2500人くらいで十分な説明できたとは思っていない。(それほど十分な説明は必要という意味で、この程度で良いというような判断はあり得ないということ。)

などの内容の講演が行われ、

 こうした内容の講演の最後に柳川氏は、再度、御岳町長時代に産業廃棄物建設問題で住民投票を行った経験を振り返り、当時は「(住民投票実施は)”議会があるからいらない”とも言われ、”革命だ”とか、”百姓一揆だ”とか、”愚民政治”とも言われた。」「しかし、10年あまりたった今、(住民投票は)国でも法制化しようとの動きもある。」「元総理、自民党総裁の中曽根康弘氏の研究会でも住民投票を制度化すべきとの地方自治法改正案もまとめられた。」と住民投票制度の動きが加速し始めている例が紹介されました。

 講演会の最後には、質疑応答が行われ、自民党市議団の横井議員、藤沢議員、中川議員、岩本議員から、河村市政での住民投票、住民投票のデメリット、住民投票実施の費用、市民への情報提供と理解度の確保などの質問が出され、柳川氏のからの応答では、

  • 河村市長の主張は、例えば減税ありきで、退路を断ってことを進めるやり方と推測するが、数か月前に示された予算案に対して、あてもない減税との批判もあるが、そうした点をどんどん議論すべきで、民主主義は、主張と反論の繰り返し。
  • 御岳町の住民投票後は、賛否で町が二分し、しこりが出来てしまったが、しかし、今でもそのしこりが残っているとは思わない。
  • 住民投票は、万能ではなく、やって全てが解決するものではない。
  • 5.5:4.5というよう結果が出た時に、勝者が敗者を抹殺するようなやり方はダメで、仮に9:1でも、少数意見も最小限採用する配慮が必要。
  • 費用が発生する場合は緊急性のあるものとして整理する。民主主義にコストは必要。
  • 御岳町の住民投票の際には、自ら町内行脚し広報誌や防災無線、マスコミ等のあらゆる手段を使って広報したが、民主主義は本当に手間暇がかかるもの。

などの見解が示され、最後に私からも「住民投票実施の場合の十分な説明の具体的日数」、「投票用の費用以外の実施前費用と公費支出との関係」の2点の考え方について尋ねました。私の質問に対して、柳川氏からは、

  • 説明日数は、テーマによるが、事前に十分な議論が尽くされていれば、それ程の日数は要しないが、突然ということなら、一般論として2カ月ほどではないか。
  • 事前費用は、市には広報予算があるが、議会にはこうした予算がないので、政務調査費等も考えられるが、場合によっては、予算化を考えなくてはならない。
  • 説明のための広報では、公開討論会やフォーラムを出来る限り多数、各地で開催し、両者の議論を発信するなどが考えられる。
  • いずれにしても民主主義のコストはケチってはいけない。

と回答されました。