河村市長は議員提案条例を交付せず、市議会に協議を申し入れ
2010年07月22日
2010.07.22
本日、河村市長から、横井市会議長に対して、先の6月定例会で議員提案により議決されながら河村市長が条例交付を行わない状態となっている議員提案条例3件と本年2月定例会で議決、交付された議会基本条例についての協議申し入れが行われました。
今回、明らかにされた河村市長からの具体的協議内容は、「議員提案3条例については、趣旨に賛同できる部分はあるものの、市長の責任で策定すべき内容を議会が条例策定したこと及び市長の権限を抑制する内容が含まれる。」として、
(1)本来、長が策定すべき内容を議会側が条例として制定した意図
(2)長が持つ管理執行権及び予算調製権についての見解
(3)長が持つ管理執行権及び予算調製権に影響を及ぼす恐れのある条例案におけるルールづくり(本会議における長の発言権、十分な検討期間など)
(4)実施方法
の協議内容が示され、
議会基本条例については、「中期戦略ビジョンに対する修正及び議員提案条例3件のように、市長権限に触れる恐れのある議決が行われる根本には、議会権限を過大に捉えた名古屋市議会基本条例に問題がある。」として、
(1)条例の前文において、「議会は、市の方針等を決定」と明示する意図
(2)長が提出する議案における議会の修正権の範囲
(3)地方自治法第96条第2項の規定に基づく議決事件の範囲
(4)地方自治制度の下で、ともに市民から選ばれた長と議会に期待される役割と権限の範囲
の協議内容が示されました。
【参考】
地方自治法第九十六条 普通地方公共団体の議会は、次に掲げる事件を議決しなければならない。
一 条例を設け又は改廃すること。
二 予算を定めること。
三 決算を認定すること。…
市長からの協議申し入れに対して、横井議長は、「今回の市長の条例交付拒否は、違法との指摘もあり、その状態に議会としては関与できない。」「中期戦略ビジョンが4項再議となるのは解るが、3条例は1項再議とできたはず。」「交付するか再議(4項再議)するかを決めて頂きたい。」と今回の市長判断を指摘し、こうした指摘に対して河村市長は、「(今回の3条例が)議会の権限を超えているとの思いに至れば4項再議とすべきだが、信義則に則ってやらなければならないので市議会との協議とした。」と説明し、指摘を踏まえた対応を「1週間以内に検討する」と回答したとのことです。
今後、「1週間以内に」とした河村市長の対応が注目されますが、議会の条例可決後、首長が同条例を交付しなかった事例は、平成18年10月に東大阪市で市職員の特殊勤務手当をめぐって、議会が同手当を削除した条例改正案を可決したのに対して、当時の東大阪市長が「地方自治法176条第4項の規定による再議の可能性がある。」として、法の定める20日以内に条例交付は行われず、その後、一部手当を復活させた復元条例案を対案として提案し、それを市議会が賛成多数で可決、市長は議会改正条例と復元条例をともに交付したという事例があります。
当時の東大阪市でも、共産党系市長と議会多数派の野党が対立していたという現在の名古屋市と同様の政治背景がありましたが、今回の名古屋市政での議員提案3条例をめぐる問題では、私の周囲からは、条例の内容よりも「議会解散を睨んだ政局戦略」、「互いの権限範囲を主張しあう権力闘争」「市民に解りにくい政争」との指摘とともに、市長vs市議会の対立の象徴的事件との意見も多く聞かれ、今後の対応は市長だけでなく、市議会としての対応にも注目が寄せられています。


