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4項再議再議決と愛知県知事への申立て…棄却

2011年01月14日

2011.01.14
 河村市長が、市議会の議決に対して、「議決権限を超えている。」として、地方自治法第176条第4項に規定される特別再議(4項再議)に付し、市議会が議決通りに再議決したことを不服として、愛知県知事への裁定を求めた市総合計画「中期戦略ビジョン」の修正議決と議員提案による公開事業審査条例についての愛知県知事からの裁定結果が市に伝えられました。
 愛知県知事からの2件の市議会再議決の裁定は、いずれも市議会の議決が権限を超えたとは認められないとして、河村市長の主張を退け、「棄却」しました。

【中期戦略ビジョンに対する裁定】

  • 「市会の議決すべき事件等に関する条例(…議会議決条例)」では、中期戦略ビジョン策定には、市議会議決が必要となるが、同条例は、総合計画策定についての議案提案権を市長に専属させる趣旨のもので、市議会は、総合計画策定について議決権を有するが、修正には、市長提案権を侵害するような修正をすることはできないという限界がある。
  • 「地域委員会」から「地域主体のまちづくり」への修正は、地域委員会の構想自体を否定するものとは認められない。
  • 「冷暖房のいらないまち」から「冷暖房のみにたよらないまち」への修正についても、この修正により、当該都市運営の視点や施策の基本的な方向性が変更されるものとは認められない。
  • 成果目標「地域委員会(モデル実施を含む)が設置されている地域の数」が削除された修正については、この修正が地域委員会の構想自体を否定するものとは認められない。
  • その他の各施策について行われた修正についても、各施策の基本的な方向性が変更されるものとは認められず、執行に具体的な支障を生ずるものとも認められないことから、修正が、市長により提案され中期戦略ビジョンの趣旨を損なうものとは認められず、執行に具体的な支障を生ずるものとも認められない。
  • 中期戦略ビジョンの各論部分も総合計画の一部として策定されている以上、「議会議決条例」により、市議会の議決を必要とするところで、中期戦略ビジョンは、各論部分も含めて、市政の各分野を統括し、施策の方向性を定めるものとして策定されていて、市長の執行を直ちに個別具体的に拘束するものとは認められず、地方自治法第96条第2項及びこれに基づく「議会議決条例」により市議会に総合計画の議決権限を付与した趣旨を逸脱するものであると認められない。

【公開事業審査条例に対する裁定】

  • 市議会には、検査権、監査請求権などの執行機関の事務の執行に対する監視権が与えられていることから、市議会は市長が実施する事業審査に一定の形で関与することができる。
  • 市長が事業審査の対象とする事務事業を定めようとするときには、市議会の意見を聴取するとされる規定は、地方自治法で、市議会に執行機関の執行に対する監視権が与えられていることからすれば、意見表明の機会を与えるという条例が、憲法や地方自治法の「長と議会の権限配分」を逸脱するものとは認められず、市長の権限を拘束するものとは認められない。
  • 具体的な実施の内容、方法などについては、市長の判断に委ねられるものと解され、どのように事務事業を見直すかについては、市長の判断権が保たれていると解されることから、憲法や地方自治法の「長と議会の権限配分」を逸脱するものは認められない。
  • (議員が事業審査に加わる点では、)審査人は、学識経験者、議長の推薦による議会の議員及び市民の公募等した者のうちから、事業審査実施の都度、市長が委嘱することとされていて、市長が審査人を委嘱することができる有資格者の範囲は広く、また、議員を必ず審査人にすることを義務付けられるものとは解されないことから、市長の権限を過度に制約するものとは認められない。

〜愛知県知事裁定後記〜

 2件の市議会再議決の知事裁定は、いずれも河村市長の主張を退け「棄却」とし、その裁定内容は、法的に「長と議会との権限」の在り方を客観的に検証した結果のもので、河村市長の独善的な再議行為への警鐘を鳴らしているとも採れるものですが、敢えて地方自治法による「首長と市議会の権限」を解説する文面も見られ、これ以上の対立、混乱を避けるための配慮も感じる内容に思えます。
 特に今回の裁定では、両件裁定に付け加えられた付言があり、その内容は、"あまりに当たり前の事柄"を敢えて苦言として呈し、今の名古屋市政の混乱に対する指摘を行ったものとも感じられます。

 両件の審議、議決から、その後の4項再議による再審議と再議決、河村市長の知事申立てへの弁明書作成にも携わった私は、河村市長には、今回の愛知県知事裁定を受け入れて欲しいとの願いも持っていますが、大儀を感じられない市長辞職と出直し市長選挙までを画策する今の河村市長には、もはや話し合うという姿勢は見られず、河村市長が今回の知事裁定で両件の議案の決着とせず、際限無き議場外対立に向かって行くことを最も心配しています。

【両件に付された愛知県知事からの付言】

  • 長と議会は、自らの権限と責任のみを主張することなく、互いの権限と責任にも配慮しつつ、意見の調整を図ることに最大限努める責務があり、その努力を尽くすことによって、多様な意見を持つ住民の負託に応えることができる。