調査レポート

調査レポート

国際競争力を備えた名古屋港整備に向けて 平成21年7月

香港の港湾調査


共に視察に参加した川島太郎県議(瑞穂区選出)

 香港は、1997年にイギリス領から、中国へ返還され、返還後も1国2制度の中で、中国との交通には出入国管理を必要としています。
 香港港は、アジアの国際港湾のひとつで、葵湧(クワイチェン)、青衣(チンイ)に9つのコンテナターミナルを持ち24のバースを有し、総取扱貨物量(08年実績)は、約2億5940トン(内名古屋港との取扱いは、輸出量1,762トン、輸入量2,043トン)で、コンテナ取扱量は世界第3位というアジアのビックポートのひとつです。

 香港の北側には、中国広東省経済特区の深圳市が隣接し、ここにもアジアの国際港湾のひとつである深圳港があります。
 香港特別行政区政府運輸及房屋局海事処の李高級海事主任によれば、現在の香港と深圳の港湾事情は、良き競争関係にあるとのことで、人件費や港湾費用などが安い深圳に対して香港では、港湾費用の引き下げなどで対応し、現在、10機目のコンテナバース整備を計画するなどの拡張戦略も進めています。


海事処の李主任からのレクチャー

香港の港湾事情を示すパワーポイント


葵湧のコンテナターミナル

深圳の港湾調査 

 深圳は、中国広東省の南側に位置し、香港の新界との境界(かつての国境)から北に接し、1980年に経済特区に指定されている副省級都市で、人口1,200万人、市民の平均年齢は30歳と中国国内でも目覚ましい発展を遂げている経済都市のひとつです。


深圳港のメインポート塩田港

 深圳港は、年間の総取扱貨物量(08年実績)では、2億1,100万トン(名古屋港との総取扱貨物量は、輸入が135,962トン、輸出が666,108)で、安価な港湾費用と併せて、4つのコンテナターミナルに38のバースを持ち、全てが14m?16mの天然水深で、現在もその地の利を生かしたターミナル建設を進め、香港についで世界第4位の国際港湾に成長しています。


深圳と香港の境界での出入国管理所

 また、近年では、香港と深圳の経済格差は少なくなり、更に2020年には、合併計画もあるなど、この2大都市の合併が実現すれば、正にメガポート都市となる可能性もあります。
 こうした、世界の2大国際港湾で出入国などの交通が自由化され、連携するようになれば、大規模な貿易や物流が可能となり、世界一の国際港湾都市が誕生することになります。

深圳市港湾局

 深圳市港務管理局副局長によると、近隣の香港港との関係は、自由貿易や金融などの環境が集中している香港港と比較すれば、深圳港は、まだまだ開発途上との事ですが、深圳市では、自由貿易の香港からの輸入品の受入れ玄関口の役割も担い、深圳港のターミナル整備も65%以上が、香港からの投資によるもので、香港返還後の12年間での共同発展とともに互いの港湾機能を活かしながらの協働港湾関係をめざしています。


深圳市港務管理局を訪問

深圳港概況のレクチャーを受ける


深圳港現況を説明する●副局長

現在も開発整備を進める塩田港

 そんな深圳港内で、50%のシェアを持つ、YICTが経営する塩田(エンテン)港では、1,800人の従業員が働き、国際級ターミナルを運営しています。
 広大なコンテナターミナル用地には、現在、第3期コンテナターミナル整備が進められ、残り1つのコンテナバースが完成すれば塩田港だけで15バースを有することとなります。
 また、YICTでは、環境問題への対策にも積極的に取り組み、太陽光発電や海洋環境の保護技術を取り入れた港湾整備と運営を進めています。


YICTから塩田港概要のレクチャー

高速道路も隣接し理想的な物流拠点


15個目のバース整備中の第3ターミナル


太陽光の利用したソーラシステムの照明器


ソーラシステム照明が多く配置


環境先進港をめざす港内

国際競争力を備えたスーパー中枢港湾整備に向けて


視察を終えてホテルでの資料整理

視察を終えてホテルでの資料整理

 名古屋港では、現在、12のバースを有し、平成15年には、国の国際スーパー中枢港湾の指定を受け、平成17年と平成20年に大型船舶を受け入れるための水深16mコンテナバースを2か所で供用開始しています。

 7月24日の新聞では、名古屋港は自動車産業低迷などの影響を受けて、日本一の座を逃したと報じされました。今後の中部圏の経済対策は急務ですが、併せて、名古屋港の貿易、物流、経済の競争力を増強する必要性を感じ、今回、調査した香港、深圳の他にもシンガポールや釜山、高雄といったビックポートも加わったアジア圏での他港競争に対応し得る名古屋港整備の必要性を感じています。

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